林田学「化粧品・美容製品ビジネス」について
林田学著「化粧品・美容製品ビジネスの戦略法務」(化学工業日報社)を読みました。 化粧品を規制する最大の法律は薬事法です。とても固苦しい感じのする法律で、その戦略法務など 今まで誰も考えた人はいなかったと思います。林田学さんの発想はとてもユニークです。 林田学さんはこう述べています。 『具体的な例で検討してみよう。「ビタミンを用いてトローチ剤をつくりにきび防止謳う」を 例にあげると、これは部外品、化粧品の表には該当しないし、化粧品の定義にもあたらない。 なぜなら、トローチ剤は内服であり方法ではずれ、目的も(a)〜(e)にあたらない。 そこで、化粧品の範疇外となる。次に部外品の定義を検討してみると、薬事法における 部外品の定義である2条2項2号の「あせも、ただれ等の防止」の「等」にあたる。そこで作用が 緩和なものであれば部外品扱いになる。 次に2つ目の例として、「肌をなめらかにするお菓子」を考えてみよう。 これも部外品、化粧品の表には該当しない。そこで定義を検討してみると、目的は化粧品と合う けれども、使用方法は内服なので合わない。部外品とも合わない。そこで医薬品で検討してみると、 薬事法の医薬品の定義である2条1項3号に該当する。 そこで、明らかに食品とはいえない限りは医薬品扱いになる。 3つ目の例として、「やせる石けん」はどうなるか。 これも医薬部外品・化粧品の表には該当しない。しかし、医薬品の定義(2条1項3号)に該当する。 これは明らか食品でないので医薬品扱いになる。実際、1995年夏にブームとなった中国製 「やせる石けん」は輸入業者が薬事法違反で逮捕されて幕を閉じた。 (3)薬事法上、医薬品ということになると製造、輸入販売に関して原則として承認、許可が必要になる。 また、販売に関しては薬局または医薬品販売業の許可を受けたものしか販売できない。 次に、医薬部外品に関しては、製造、輸入販売に関して医薬品と同様の規制がある。 しかし、販売に関してはどこででも販売することができる。 次に化粧品に関しては、ホルモン含有のものを除き、製造、輸入販売に関しては許可のみでよい。 また、販売に関してはどこででも販売することができる。なお、承認と許可の違いは何かというと 承認は製品に対して与えられるもので、許可とはビジネスに対して与えられるものである。 それぞれ以上のような規制があるが、これらの規制を守らないで、製造、販売、広告をした場合には、 医薬品にあたるものは未許可製造で12条1項違反、未承認製造で14条1項違反、違法販売で24条、55条 2項違反、違法広告で68条違反となる。 また、部外品にあたるものを製造、販売、広告した場合には、未許可製造で12条1項違反、未承認製造 で14条1項違反、違法販売で24条、55条2項違反、違法広告で68条違反になる。 化粧品にあたるものの場合は、未許可製造で12条1項違反、未承認製造で14条1項違反、違法販売で 24条、55条2項違反、違法広告で68条違反となる。 (4)ケーススタディT−むくみ取りスプレーを化粧品として出せるか むくみを取るというのは体の物理的変化であり化粧品の効能の範囲表からみてもここまでの物理的変化 を化粧品として謳うのは無理である。医薬品が医薬部外品扱いとなる。しかし、肌の引き締め効果は 化粧品の効能の範囲表でも認められているので肌の引き締めに引っかけて脚の引き締めを謳ったり、 スプレーによる爽快感を謳ったりすることは化粧品の範疇でも可能である。 (5)ケーススタディU−にきび治療クリームを薬用化粧品として出せるか 薬事法2条2項は医薬部外品の目的として「あせも、ただれ等の防止」を挙げている。よって、にきび予防 を薬用化粧品において謳うことは問題ないが、にきび治療となると、もはや部外品の範囲を超え医薬品の 範囲に含まれる。ただし、「ケア」という言葉は漠然としており必ずしも治療を意味するとは言えないので 「にきびケア」という表現を薬用化粧品において用いることは許される。』 なるほどこれが林田学さんの言う戦略法務なのかと思いました。